「フランス大統領選挙」part2 大統領となるマクロン氏。今後どうやってフランスをまとめていく?
「フランス大統領選挙」part2
ということで、part1に引き続いて、クラス代表を決める選挙(フランス大統領選挙)におけるマクロン、ルペンの主張を見たのち、その結果と今後のフランスについて見ていきましょう!
part1はこちらから、
1.どんな意見を持っている??マクロン君とルペンさんの主張。
選挙の結果を見る前に、2人が代表になったらどんなことをしたいか、ということについて少し見てみましょう。
マクロン君
「僕が代表になったら、学年の他のクラスとの交流を今まで通り積極的に行っていきたい。また、僕は転校生でどのグループにも属していないから、グループにはしばられずにこのクラスによくしていきたい。」
ルペンさん
「私が代表になったら、このクラスの結束をもっと強めたいと思います。今まで行われていた他のクラスとの交流はやめて、もっとこのクラスのメンバーだけで遊んでいきたいです。また、最近このクラスで盗みなどが多発しているのを受けて、他のクラスから人が入ってくるのにルールを作って、制限していきたいと思います。」
2人の話を聞いてどう思いますか?
全然違うと思いませんでした?
特に、この2人の意見が大きく異なっているのは、他のクラスとの関わり方についてですね。
マクロン君は、
今まで通り他のクラスとの関わりあいを続けていこう
と言い、ルペンさんは、
自分たちのクラスで関わることを第一優先して、さらに最近起こっているトラブルを止めるためにも、他のクラスの人が自分のクラスに入ってくるのも制限しよう。
と言っています。
実際のフランス大統領選における2人の主張を見てみると、
マクロン氏
(下に簡単な言い換えあり)
(抜粋)
・国や地方の公務員を最大で12万人、議員定数を最大で3分の1それぞれ削減して歳出を抑える一方で、経済成長を促すための企業への優遇策として法人税を減税したり、年金などの社会保障費の企業負担を減額したりする
・社会格差の是正のために、失業手当の給付基準を緩和し、自営業者が職を失った場合や自己都合で退職した場合などにも支払われるようにすることを訴えています。さらに、失業率や犯罪率が高い大都市の郊外などを対象に、小学校の少人数学級を実現し、教師の数を増やすことや、この地域出身の若者を雇用した企業に、3年間で170万円余りの補助金を支払うなどとしています
・EU=ヨーロッパ連合の枠組みを堅持することを前面に打ち出しています。具体的には、単一通貨のユーロを維持し、ドイツと連携してEUのけん引役を果たすとともに、新たにエネルギーやデジタル分野での単一市場の創設を目指すなど、EUのさらなる統合を進めることも目指す
・中東やアフリカなどからの難民の受け入れについては、EUの方針に従って受け入れるとする一方で、合法的な手続きをへた移民についても受け入れを進める
・EUなどの各国間を国境審査なしで移動できる「シェンゲン協定」は守りながら、域外との境界の警備は強化し、不法な移民は取り締まる
簡単に言い換えると、
・公務員とか議員の人数は減らして、なるべく税金を使わないようにする一方で、会社には税金などからくる負担を減らして、頑張ってもらう。
・格差問題があるのを受けて、仕事がなくなっちゃって、不利な状況にある人への支援を増やしたり、失業する人が多かったり、犯罪が多い大都市の周りの街で、教育を充実させたり、若い人たちの支援を行っていく。
・ドイツとかと協力しながら、EU(ヨーロッパ連合)をもっと大きくする。
・中東やアフリカからの難民はEUのルールに従って受け入れる。移民もちゃんとルールを守ってくれれば受け入れる。*
・EUの中を自由に移動できる今までのルールは守りつつ、ルールを破ってEU入ってくるような人たちは取り締まる。
※ちなみに「難民」と「移民」の違いって分かってますか??
難民:迫害のおそれ、紛争、暴力の蔓延など、公共の秩序を著しく混乱させることによって、国際的な保護の必要性を生じさせる状況を理由に、出身国を逃れた人々
移民:移住の理由や法的地位に関係なく、定住国を変更した人々を国際移民とみなす
要するに、
難民は、自国でなにか危機等があるために、逃げてきた人たち
移民は、仕事を探したり、大学に行ったり、結婚したりなどといった理由でその国に引っ越してきた人たち
のことを指します。
次にルペン氏
(抜粋)
・フランスの「自由」「安全」「繁栄」などをテーマに据えた公約を掲げ、憲法に自国民の利益を優先すると明記する憲法改正も行う
・通貨・立法・国境管理・経済の4つの分野について、「国の主権」を取り戻すようEU側と交渉を行った上で、EUにとどまるかどうかを問う国民投票を行うとしています
・警察官を1万5000人、兵士を5万人、それぞれ大幅に増員し、刑務所の収容能力も4万人分増やして、治安当局の監視対象となった外国籍の人間は国外に追放する
・EUの中で廃止された自国の国境管理を復活させ、移民や難民の受け入れを制限するとともに、国内の移民についても不法入国者は理由を問わず、国外に退去させる
・両親の国籍を問わず国内で生まれた子どもに自動的に国籍を与えてきた従来の制度を廃止し、これまでより厳しい条件を満たさなければ国籍を取得できないようにする。
・フランスの企業や労働者を守るため、国内の規格を満たさない外国製品は、輸入や販売を禁止。公共事業を受注できるのは原則としてフランス企業に限り、企業が外国人を雇用した場合は税金を課すとしています。さらに外国からの輸入品に3%の関税を課し、それを財源に低所得者や年金生活者の購買力を引き上げるための手当てを導入する
簡単に言い換えると、
・フランスの国民を優先する方向性で政策を実行していく。それにあたって憲法もそのように変える。
・EUから「国の主権」を取り戻す。そして、EU残るかどうかの国民投票を行う。
・テロ等対策、安全の確保のために、警察の力を強くして、さらにテロ等を実行する危険性のある疑わしい外国人は追い出す。
・外国人がフランス国籍を得るのを難しくする。
・外国との貿易を制限して、フランス国内の産業を守る。フランスの企業を優遇したり、会社にフランスの国民を優遇するようにさせる。外国から入ってくる商品に関税をかけて、それで得たお金を、所得の低い人や年金生活をしている人にまわす。
2人の主張は分かりましたか??
では最終的には、どちらが勝ったのでしょうか、、、
2.勝ったのは…?でも、その投票率は、、、
最終的に、決選投票で勝って大統領になったのは、、、
マクロン氏
でした!!
(もちろんたとえ話でもマクロン君が勝って、クラス代表になりました(笑))
得票率は、マクロン氏は66.1%、ルペン氏は33.9%でした。
ちなみに、全体の投票率は約75%で、いつもは投票率が80%は超えるというフランスの大統領選挙としては、低い数字になったそうです。
それは、ルペン氏もマクロン氏も嫌だという人が多かったからなのでしょうか、、、
大統領選という日本の衆議院、参議院選挙とは性質が違うもののため、単純比較はできませんが、、、
日本の選挙の投票率は50%台、、、
自分の国の方向性を決める大事な選挙。
これでいいのでしょうか????
それについては、また別の機会に話すとして、
では、なぜ最終的にマクロン氏が勝ったのでしょうか?
マクロン氏の勝因としては、以下のようなものがあげられています。
(抜粋)
・「左派でも右派でもない政治」を掲げて無所属で立候補することで、現状の政治に不満を持つ有権者の支持を集めるとともに、極右政党・国民戦線のルペン氏の当選を阻みたい多くの有権者の受け皿になったものと見られます。
・1回目の投票で敗退した中道右派の共和党と急進左派の左派党の候補者の支持者も2回目の投票では多くがマクロン氏に投票したと見られています。
・また、公約面では、長引く景気の低迷を打開するため企業への優遇策を打ち出し、法人税の減税や年金など社会保障費の企業負担の削減を訴えるなどして、企業経営者などの支持を固めたものと見られます。
・また、マクロン氏はEU=ヨーロッパ連合の枠組みの堅持を前面に掲げ、EUなどの各国で国境審査なしで移動できる「シェンゲン協定」や単一通貨ユーロを守ると強調していて、EUの統合に賛同する多くの有権者の支持を集めていました。
簡単に言えば、
・今までの主流だった政党に所属していないという事で、これまでの政治が嫌だった人たちの支持を集めた。ルペン氏に大統領になってほしくない人たちが、マクロン氏に入れた。
・第一回投票で敗れた候補者がマクロン氏への投票を呼び掛けるなど、一回目で他の候補者に入れた国民の支持を得た。
・税金などの会社の負担を減らす政策を出したため、会社の経営者などに支持された。
・EUとの関係を今後も維持、強化するつもりという事で、EUに賛成している人に支持された。
などが、勝因として、あげられているものになります。
3.今後のフランス
マクロン氏が新大統領になりましたが、
今回の選挙では、EUに残りたい人たち、抜けたい人たち、今の社会、特に移民に対して不満をもつひとたち、社会的に成功しているエリートなど、様々な立場の人たちが存在し、その中で意見の対立があることが分かりました。
だからこそ、主要な2つの政党が決選投票まで残らなかったのだと思います。(今までの政治への不満)
今後はそんなばらばらになったフランスの国民を、どうやってまとめていくのかがマクロン氏に問われる
と自分は思います。
また、6月には議会の選挙が行われます。
この選挙で、自分のことを支持してくれる人たちで議会の過半数を占めることが、大統領が力を発揮できるかに大きく関わってきます。
政治の世界にいる時間は短く、これから自分の政党を作るマクロン氏が、議会でどのくらい自分を支持する人たちを獲得できるか。
楽しみにしましょう!!
今回は、あるクラスでのクラス代表の選挙をたとえに説明しました。しかし、実際の大統領選はもっと複雑で、色々な争点があります。第一回選挙の結果や、第一回投票で負けてしまった人たちの公約はとても面白いので、是非さらに調べてみてください!!
また極右と呼ばれて注目を集めたルペン氏ですが、「右派と左派」の違いについての記事もあるので、よかったら参考にしてみてください。
以下に参考になるサイトを載せておきます。
このブログは、たとえ話などを使いながら、政治や政治に関連したニュースを、理解しやすく、とっつきやすくすることを目的としています。
このサイトに書いてあることは、全体のほんの一部の情報でしかありません。
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