教育無償化って本当にできるの?無償化を実現する4つの方法
OECD諸国の中で教育への公的支出の割合が最下位と言われている日本。
それを受けて、ヨーロッパ諸国のように教育を無償化したり、給付型奨学金を充実させるべきという声がよく聞かれますが、
「教育無償化っていうけど、どうやったら実現できるの?」
ということについて今回は書いていきたいと思います。
1.教育無償化のための4つの手段
教育の無償化のためには、お金が必要です。そこでそのお金を生み出すために、現在、主に4つの手段が検討されています。
①教育国債の創設
②子ども保険
④増税
以下で、それぞれについて詳しく見ていきます。
2.教育国債の創設
自民党の中で検討されている案の1つがこの「教育国債の創設」です。
国債とは、国の借金のことです。
これは以下のような考えにもとづいてます。
教育を無償化すれば、子どもたちはみんな教育を受けられるようになり、将来優秀な人が増えて、日本はもっと発展する。
↓
でも教育の無償化のためにはお金が必要。
↓
教育にお金を使えば、将来国は発展して、税収も増えるんだから、今借金して(国債を発行して)も大丈夫。
その借金は、将来国が発展したときに、今の子どもたちに返してもらおう。
確かに、教育にお金を使うことで、将来その使ったお金以上の効果が得られる、つまり国が発展したりして、そのお金は増えますよ、という研究は多くあります。
しかし、これに反対する人は、
将来につけを回すやり方はよくない。
実質、教育を受ける若者に借金を負わせているだけ。
と反対しています。
借金をして教育を無償化をするというのは、はたして本当に「無償化」と言えるのか、ということは考えなければならないといけないと思います。
3.子ども保険
「こども保険」は、小泉進次郎議員が中心の議員グループが提案している案で、保育や幼児教育(小学校入学以前の子どもの子育て・教育)を実質無償化しようというものです。
なぜ、ここでは、高校、大学ではなく、小学校に入る前に教育を無償にするのでしょうか?
それは、
小学校入学前に受ける教育が、その後の子どもの成長に最も大きな影響を与え、結果的にそこにお金をかけるのが一番効果が大きい
ということが多くの研究で証明されているからでしょう。
この案は、教育無償化の財源として、社会保険料を上げることを提案しています。
社会保険料とは?
会社員として働いている人の給料から、国が取るお金は大きく分けて2つあります。
それは、
税金と社会保険料
です。
税金には、所得税や住民税といったものが含まれます。
では、社会保険料とは何なのでしょうか?
社会保険料の中には、以下の5つの種類があります。
・健康保険 病気やケガによる通院・入院・長期休業、出産、育児休業
・介護保険 介護ケア
・年金保険 遺族の生活保障、障害状態の生活保障、老後の生活保障
・雇用保険 失業時の生活保障、スキルアップ
・労災保険 業務にかかわる病気やケガ
つまり、国はみんなから集めた社会保険料を使って、失業したり、健康じゃなくなったり、年を取ったり、けがをした人たちを支援するということです。
社会保険料がなにかということを踏まえると、「子ども保険」というのは、税金を増やすのではなく、この社会保険料の中に「子ども保険」という新たな項目を作って、そのお金で子どもを持つ家庭を支援しようという案です。
子ども保険に反対する人たちの意見としては、
・「保険」というが、保険というのは、起こり得る出来事に対して備えるためにお金を払うのであって、子どもができるというのは誰にでも起こることではない
・働いている人たちだけではなく社会全体でお金を出すべきではないか(社会保険料は働いている人しか払わない)
・子どもがいない人たちは、その保険によって何の恩恵も受けられない
・保育や幼児の無償化というのは国ではなくて、地方がやるべき
といったものがあげれらます。
4.行財政改革
「行財政改革」とは、
国や地方公共団体の行政機関の組織や機能を改革すること、主に、財政の悪化や社会の変化に対応して、組織の簡素合理化、事務の効率化、職員数や給与の適正化などの形で行われる。
簡単にいうと、
社会が変わってくなかで、無駄な仕事をなくしたり、仕事を効率的にしたり、職員の数を減らしたり、給料を変えたりして、支出を削減する
というものです。
結構前の話しですが、2009年に民主党が行った事業仕分け(蓮舫さんが有名になったやつ)は、行財政改革の1つです。
つまり、
税金の無駄遣いを徹底的になくして、教育の費用を生み出そう
ということです。
とてもよく聞こえますが、行財政改革を行うとなると、公務員の数が削減されたり、特定の団体への補助金がカットされたり、今まで行われていたサービスがなくなったり、関係する多くの市民や団体から強い反対を受けることにはなるでしょう。
5.増税
これは、文字通り、税金を上げて、その分増えた収入を教育費にあげるわけですが、
をあげることで、そのお金を生み出すことを提案しています。
(橋本氏は、行財政改革を徹底的にやった上で不足している分は、増税でカバーすると言っています。)
相続税とは、
亡くなった人の財産をもらったときにかかる税金
のことをいいます。
元々、相続税がある理由は、沢山お金を稼いだ人の財産がそのまま引き継がれてしまったら、お金持ちの人と貧しい人の差がそのままになってしまうため
つまり、お金が一部の人に集まらないようにするためです。
相続税を教育費無償化の財源として選んだ理由としては、まず
お金をたくさん稼いだ人から税金をもらう
それと、
今の現役世代(働いている人たち)に影響がない
といったことがあげられます。
6.「教育費無償化」だけではなく、「教育費無償化の方法」まで考える
もし、幼児教育から大学まですべての教育を無償化しようと思ったら、5兆円規模のお金がかかると言われています。
そんな金額を簡単に生み出すことはできません。
つまり、教育無償化を実現させようと思ったら、どの方法をとっても
私たちがどこかで我慢しないといけない
ということです。
小泉進次郎議員が、子ども保険を作ることを提案したときのメッセージ
「子育て世代を社会全体で支えていく」
教育費無償化を実現するのに一番重要なのは、この「社会全体で支えていく」という意識を私たち国民が持つことではないでしょうか?
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参照:
・教育への公的支出、日本なお低水準 13年OECD調べ :日本経済新聞
・給料から引かれるものって何? [仕事・給与] All About
・【主張】大学無償化 財源から現実的に考えよ(1/2ページ) - 産経ニュース
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