「共謀罪とは?」 試験期間に遊ぶ計画失敗!?遊んでないのに何で怒られた?
まず最初のテーマは、
「共謀罪」について書こうと思います!
- 1.行ってないのに怒られた!?計画段階で捕まるようになる?
- 2.言ってないのに怒られた!?盗聴の恐れがある?
- 3.怒られたのにはまだ理由があった!?A子の行こうとしていた場所とは。重大犯罪とはなんなのか。
- 4.A子はB子と遊びに行く約束を本当にしていた?どんなことをしたら、計画したことになるの?
- 5.A子とB子は犯罪者集団!?組織的な犯罪集団とは?
- 6.なんでお母さんはA子の行動を監視してた??そもそも共謀罪を作る目的とは。
- 7.最後に
<時間がない人のための要約>
共謀罪とは、
ある特定の犯罪を行おうと具体的・現実的に合意することによって成立する犯罪。実際に犯罪を行わなくても、何らかの犯罪を共謀した段階で検挙・処罰することができる。
のこと。
つまり、
実際にまだ犯罪を実行していない段階、つまり犯罪の計画をしている人たちを捕まえることができようになる
ということです。
犯罪を計画したとみなされるためには、
具体的・現実的に合意
をすることが必要なため、食事のときなどに冗談等で、犯罪の計画について話しても捕まることはありません。
また、その共謀罪の適用の対象となるのは、
組織的な犯罪組織による重大犯罪
のみであり、一般市民は捜査の対象にはならないと政府は言っています。
共謀罪を作る目的は、
・テロ等の重大な犯罪を予防するため
・「国際組織犯罪防止条約」という組織的な犯罪を防止する条約に入るためには、この共謀罪の法律を成立させることが必要なため
などがあげられます。
共謀罪に反対する人の意見としては、
・事前に計画していることを調べるために、盗聴等が行われるようになる可能性がある
・組織的な犯罪集団や現実的、具体的な合意の認定が、捜査機関の都合のいいように行われる可能性がある
・共謀罪の対象となる犯罪が277あり、そこには重大でない犯罪、テロに関係ない犯罪も多く含まれている
・「国際組織犯罪防止条約」に入るためにこの法律が必要というが、そんなことはない
・本当は国民の監視を強化するための法律ではないのか?
などがあげられます。
1.行ってないのに怒られた!?計画段階で捕まるようになる?
A子「今日からしばらく部活ないね!少し休めるから嬉しー!」
B子「でも試験があるよ…」
A子「まあそうなんだけどねー。あ、ねえねえ!今週さ、お母さんには黙って、ちょっと遊びに行かない?息抜きにさ!」
B子「お、いいね!行っちゃおー!どこ行く??」
こうして試験期間にも関わらず遊びに行く約束をした2人。しばらくすると、、、
お母さん「あんた、試験期間に遊びに行く約束したでしょ!!ちょっとそこに座りなさい!」
A子「え、、、」
こうしてA子はこっぴどくお母さんに叱られました、、、
でも、ちょっと考えてみてください。
なぜ、A子はお母さんに怒られたんでしょう??
だって、A子は、まだ遊んだわけではなかったはずです。
言い換えれば、
まだ本当に遊んだわけではなくて、計画しただけのA子が怒られるのはどうなのか?
ということです。
もしかしたら、A子はこうやってお母さんに反論するかもしれません。
「まだ遊びに行ってないし!友達と冗談で話してただけなんだから!」
さて、ここで、お母さんを捜査機関、A子を犯罪者に置き換えてみましょう。
そうすると、
犯罪の計画をしている犯罪者が、まだその計画を実行はしていなかったけど、計画していたからという理由で捕まった。
たとえ話と関係させると、
犯罪の計画をしている犯罪者(遊びを計画していたA子)が、まだその計画を実行はしていなかったけど(まだ遊びには行ってなかったけど)、計画していたからという理由で捕まった(B子と計画を立てたからという理由でお母さんに怒られた)。
という状況になることが分かりますね!
これが、共謀罪のポイントです。
共謀罪の定義を見てみると、
ある特定の犯罪を行おうと具体的・現実的に合意することによって成立する犯罪。実際に犯罪を行わなくても、何らかの犯罪を共謀した段階で検挙・処罰することができる。
赤字で書いてあるように、犯罪者を計画をしている段階で捕えることができるようになる、ということが分かります。
それは、「共謀」という漢字にもしっかり表れていて、
「共」:一緒。また、同時。
「謀」:物事がうまくゆくように、前もって考えた手段・方法・計画。また、計略。もくろみ。
つまり、一緒になって、なにか計画を立てることが、罪になる、という意味になります。
(もちろん、全ての計画ではなく、組織的犯罪集団による重大な犯罪の計画のみ)
共謀罪の一番重要なポイントが分かったところで、もっと詳しく見ていきましょう!
2.言ってないのに怒られた!?盗聴の恐れがある?
A子は、B子と計画をしていただけで、お母さんには一切遊びに行くことを話してませんでした。
お母さんはどうやってA子が遊びに行く計画をしていることを知ったのでしょうか?
なんと、、、
お母さんは、A子のスマートフォンでの通話を全部聞けるようになってたのです!!
これには、A子も大激怒。
A子「それは本当にひどいよ!私のプライバシーのことも考えてよ!!」
当然です。僕もお母さんにスマホの電話を聞かれたら、めっちゃ怒ります(笑)
実は、これが共謀罪に反対している人たちの大きな反対理由の1つになっているんです。
つまり、
犯罪を計画していることを証明するために、盗聴等が行われる可能性がある
ということです。
東京新聞の2017年2月3日の記事の中では、
犯罪に合意することを処罰対象とする「共謀罪」と趣旨が同じ「テロ等準備罪」を設ける組織犯罪処罰法改正案について、金田勝年法相は二日の衆院予算委員会で、捜査で電話やメールなどを盗聴できる通信傍受法を使う可能性を認めた。実行行為より前の「罪を犯しそうだ」という段階から傍受が行われ、犯罪と無関係の通信の盗聴が拡大する恐れがある。
と書かれています。
これに対して、政府は、
組織的な犯罪の共謀罪の新設に際して,新たな捜査手段を導入するものではありません。
と回答しており、
共謀罪が成立したからといって、それを根拠に、盗聴等を使った、新しい捜査をするわけではないよ
としています。
※すでに成立している「通信傍受法」という法律について調べてみると、盗聴等の捜査の拡大に対する反対者の不安をさらに理解することができます。
3.怒られたのにはまだ理由があった!?A子の行こうとしていた場所とは。重大犯罪とはなんなのか。
実は、すごくお母さんが怒ったのには、もう1つ理由がありました。
それは、、、
なんと、A子とB子は、ディスニーランドに行こうとしていたのです!!
楽しいですよね、ディズニー(笑)
お母さんも、近くの公園とかプールぐらいなら許してやろうと思いましたが、ディズニーランドはさすがに許せませんでした。
お母さんにも許せる範囲と、許せない範囲があるように、共謀罪では、罪になる犯罪の範囲が決まっています。
法務省はその範囲について、以下のように言っています。
その対象となる犯罪は 、
① 重大な犯罪(死刑又は無期若しくは長期4年以上の懲役・禁錮の刑が定めら れた罪)であり,
② 組織的な犯罪集団の関与するもの
に限られています。
よって、組織的な犯罪集団でもなく、重大な犯罪を犯そうともしてない、私たち普通の国民が、この法律によって、犯罪に巻き込まれるようになることはないよ、ということですね。
これに対して、共謀罪に犯罪している人たちは、
法律の中で、犯罪にあたる行為が277もあって、その中にはあんまり重大じゃない犯罪も入っている
と言っています。
※ここでは、細かくは書きませんが、「共謀罪」という法案、今は「テロ等準備罪」という名前で提出されています。共謀罪とテロ等準備罪は全く異なるという政府見解もありますが、共謀罪の内容とほとんど変わらない、事実、277項目のうち、多くの項目はテロとは関係ないものだという批判もあります。
4.A子はB子と遊びに行く約束を本当にしていた?どんなことをしたら、計画したことになるの?
A子は、B子と遊びに行く約束をしていたわけですが、
この電話の会話だけで、本当に遊びに行く約束を固めたことになるんでしょうか??
きっとみなさんの友達にも1人はいると思います。
いつも遊びに行こうって言うのに、結局全然遊びに行かない人(笑)
実は、A子はこの電話のあと、予定表にそれを書き込み、さらにチケットまで買っていました。
これは計画をしていたといってもよさそうですね。
ここで、もう一度共謀罪の定義に戻ってみましょう。
ある特定の犯罪を行おうと具体的・現実的に合意することによって成立する犯罪。実際に犯罪を行わなくても、何らかの犯罪を共謀した段階で検挙・処罰することができる。
今度は、前半の言葉に注目します。
ここでは、計画の定義として、
具体的・現実的に合意すること
が必要だとされています。
なので、計画のことについて、事前に話し合いを行ったり、それに参加したりするだけで、処罰されることはないと、政府は言っています。
例えば、頭の中で、どうやって犯罪を実行するか考えたり、友達と話している中で犯罪行為について盛り上がっただけでは、捕まることはありません。
A男「お金欲しいなー。ちょっと今から銀行強盗しにいっちゃう??」
B男「いいねー!賛成!しようしよう!」
警察「今、銀行強盗を計画していたな!逮捕する!」
ということにはならないわけです。
しかし!
ここでいう
具体的・現実的な合意
というのは、はっきりとは定義されていないため、捜査機関が都合のいいように解釈してしまうのではないか、という不安の声もあがっています。
5.A子とB子は犯罪者集団!?組織的な犯罪集団とは?
共謀罪では、処罰の対象になるのは、組織的な犯罪集団のみ、としています。
A子とB子は組織的な犯罪集団でしょうか??
もちろん違います(笑)
政府は、共謀罪の適用について、以下のように述べています。
法案の共謀罪は,例えば,暴力団による組織的な殺傷事犯,悪徳商法のような組織的な詐欺事犯,暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀など,組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪を共謀した場合に限って成立する。
これによれば、例えば、暴力団や組織的な詐欺集団のことを指すようです。
しかし、ここで、組織的な犯罪集団かどうかということを判断するのは、またまた捜査機関なので、普通の市民団体等も、捜査機関の解釈次第では、犯罪集団にされてしまうのではないか、という不安が持たれています。
6.なんでお母さんはA子の行動を監視してた??そもそも共謀罪を作る目的とは。
ここまで、共謀罪について、主なポイントや、それに対する反対意見、不安な点などを見てきましたが、なぜ今共謀罪が必要とされているんでしょうか?
もう一度たとえ話に戻ってみましょう。
A子のお母さんは、学校の保護者の集まりに参加しています。そこでは、保護者同士で情報の交換が行われているのですが、そこにはある恐ろしいルールがありました。
それは、、、
子どもたちが、どこに行くことを計画しているのか、今度どんな遊びをする予定か、ということを調べて報告しなければ、その保護者会には参加できない
というものでした。
子どもからしたらたまったものじゃない…
でもお母さんは、他のお母さんからの情報が欲しかったから、ルールを守っていたのです。
政府は、共謀罪が必要な理由として、以下のように述べています。
国際組織犯罪防止条約は,一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し, これと戦うための協力を促進することを目的とする国連条約であり,平 成15年9月に発効しています。
(中略)
この条約は,締約国に対し,重大な犯罪の共謀等を犯罪とすることを 義務付けています
(中略)
そこで 我が国も 国際社会の一員として この条約を早期に締結し 国際社会と協力して,一層効果的に国際的な組織犯罪を防止するため, この条約が義務付けるところに従い,「組織的な犯罪の共謀罪」を新設 する必要があります。
つまり、世界的に組織的な犯罪集団の犯罪を防止する条約があって、そこに入るために、この法律を通すことが必要だよ、ということです。
お母さん(日本)は、周りのお母さんたち(国々)の空気(流れ)を読み、ルールを守って(共謀罪を作って)、その保護者会(条約)に参加したということです。そうしなければ、色々な情報を手に入れることもできませんから。
一方で、反対派は、今の法律のままで、組織的な犯罪を十分に防ぐことが可能であり、共謀罪を作らなくても、この条約に入ることはできる、と言っています。
さらに、反対派からは、そもそもこれは条約に入ることが目的なのではなくて、国民に対する監視を強化することが目的なのではないか、という声も多く上がっています。
7.最後に
組織的な犯罪集団による重大な犯罪を取り締まるのには、もしかしたら共謀罪が必要であり、それが私たちの安全な生活につながるのかもしれません。
一方で、法律というのは強制力を伴うものなので、一度判断を誤って、法律を作ってしまうと、あとで取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。
私たちがするべきことは、あとで、「こんなことになるなんて知らなかった」などと言うことにならないように、この議論について、私たちがしっかり考え、選挙を通して意見を発信していくことにつきると思います!
どうでしたでしょうか?共謀罪というものが、どのようなものなのかということが少しでもわかってもらえたら嬉しいです。
このブログは、たとえ話などを使いながら、政治や政治に関連したニュースを、理解しやすく、とっつきやすくすることを目的としています。
このサイトに書いてあることは、全体のほんの一部の情報でしかありません。
もし、このページを見て、このテーマに興味を持ったら、自分で”今”調べてみてください!
もっと詳しい情報があるはずです。難しいことも書いてありますが、ここでそれらの情報の基礎を抑えたから、きっと理解できるはずです。
そして、多くの情報を得たうえで、自分だったらどう思うか考えてみてください。
そして、それをどんどん友達に話してみてください。周りを巻き込んでいってください。
きっと、あなたのその一歩が、日本を変える一歩になります。
参照:
法務省 「組織的な犯罪の共謀罪」をめぐる各方面からの御意見・御指摘に対する法務省の考え方
法務省 組織的な犯罪の共謀罪~対象となり得るケース・ならないケース~
法務省 「組織的な犯罪の共謀罪」の創設が条約上の義務であることについて
日弁連 テロ等準備在は共謀罪です 名前を変えてもその危険性は変わりません
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